中島 一紀 (NAKASHIMA, Kazunori)
所属
九州大学大学院工学研究院応化分子 博士研究員
連絡先
- E-mail:k-nakashimatcmmbox.nc.kyushu-u.ac.jp
- 〒819-0395 福岡市西区元岡744番地
- TEL:092-802-2919
- FAX:092-802-2810
所属学会名
化学工学会、日本生物工学会、日本化学会
研究分野
生物化学工学、分離プロセス
研究キーワード
生体触媒反応、タンパク質修飾、バイオコンジュゲート、イオン液体、溶媒抽出、有価物回収プロセス
研究概要
- イオン液体を用いた抽出分離システム
概要:液状の塩であるイオン液体は環境負荷の少ない次世代型グリーン溶媒として現在幅広い分野において注目を集めています。私達はイオン液体の不揮発性に着目し、イオン液体を抽出溶媒とした環境調和型抽出分離システムの開発を行っています。水と2相を形成する疎水性のイオン液体を合成して抽出溶媒として用い、工業用抽出剤CMPOによる希土類金属イオンの分離回収システムを開発しました。イオン液体を抽出相とすることで、従来の有機溶媒ドデカンを用いた系よりも金属イオンの抽出効率と選択性が飛躍的に向上することが分かりました。また、この系では抽出された金属イオンの水相への回収(逆抽出)も可能であり、その工学的な有用性も示唆されました。
- 酵素反応溶媒としてのイオン液体の利用
概要:生体触媒である酵素を有用化合物生産の触媒として用いる研究が近年盛んに行われています。特に、非水溶媒中での酵素反応は水系では見られない酵素の新機能が発現されるため、その工業的有用性も高いと思われます。
私達は酵素反応の新たな溶媒としてイオン液体に着目し、新たな生体触媒反応プロセスの開発を行っています。通常、酵素はイオン液体に不溶であり、その触媒活性の低さが問題となっていましたが、酵素表面をポリエチレングリコール(PEG)で化学修飾することにより、酵素がイオン液体に均一に可溶化し、極めて高い触媒活性を発現することが分かりました。さらに、イオン液体中では有機溶媒中よりも高い活性が得られ、活性を長期間保持しているということも明らかとなっています。今後はイオン液体と生体触媒機能を融合した新たなバイオデバイス、バイオナノマテリアルへと展開できると考えております。
図をクリックするとPDFファイルが開きます。
照会先(HP URL)
http://www.bioeng.cstm.kyushu-u.ac.jp/
紹介記事
論文リスト
- K. Nakashima, T. Oshima, M. Goto, “Extraction of Amino Acids by Calixarenes in an Aliphatic Organic Solvent.” Solvent Extr. Res. Dev.-Jpn., 9, 69?79 (2002).
- K. Nakashima, F. Kubota, T. Maruyama, M. Goto, “Ionic Liquids as a Novel Solvent for Lanthanide Extraction.” Anal. Sci., 19, 1097?1098 (2003).
- K. Nakashima, F. Kubota, T. Maruyama, M. Goto, “Feasibility of Ionic Liquids as Alternative Separation Media for Industrial Solvent Extraction Processes.” Ind. Eng. Chem. Res., 44, 4368?4372 (2005).
- K. Nakashima, T. Maruyama, N. Kamiya, M. Goto, “Comb-Shaped Poly(ethylene glycol)-Modified Subtilisin Carlsberg is Soluble and Highly Active in Ionic Liquids.” Chem. Commun., 4297?4299 (2005).
- K. Shimojo, K. Nakashima, N. Kamiya, M Goto, “Crown Ether-Mediated Extraction and Functional Conversion of Cytochrome c in Ionic Liquids.” Biomacromolecules., 7, 2?5 (2006).
- K. Nakashima, T. Maruyama, N. Kamiya, M. Goto, “Homogeneous Enzymatic Reaction in Ionic Liquids with Poly(ethylene glycol)-Modified Subtilisin.” Org. Biomol. Chem., 4, 3462?3467 (2006).
- K. Nakashima, J. Okada, T. Maruyama, N. Kamiya, M. Goto, “Activation of Lipase in Ionic Liquids by Modification with Comb-Shaped Poly(ethylene glycol).” Sci. Technol. Adv. Mater., 7, 692?698 (2006).
- F. Kubota, Y. Koyanagi, K. Nakashima, K. Shimojo, N. Kamiya, M. Goto, “Extraction of Cytochrome c by a Functionalized Ionic Liquid Containing a Crown Ether.” Solvent Extr. Res. Dev.-Jpn., 14, 115?120 (2007).
- T. Maruyama, K. Nakashima, F. Kubota, M. Goto, “Perfluorocarbon-Based Liquid-Liquid Extraction for Separation of Transition Metal Ions” Anal. Sci., 23, 763?765 (2007).
その他
|
お問い合わせ先
〒819-0395 福岡市西区元岡744
九州大学工学部化学プロセス教室内
q-net chem-eng.kyushu-u.ac.jp
|